今月の人事パーソン|Center of HR Universe
ULSコンサルティング株式会社
人事部 部長
角谷(かくたに)幸子(さちこ)さん
【PROFILE】
人材業界でキャリアをスタート。以降、法人営業やキャリア支援に携わる。ソフトウェア品質保証企業の人事から転じて2024年4月、ULSコンサルティング入社。採用、育成、組織づくりの経験を活かして現職。
2000年の創業から25年の節目に当たる2025年、それまでの「ウルシステムズ」から商号変更した「ULSコンサルティング」(東京都中央区)。「ULS」には、「Unify」「Lead」「Succeed」の想いが込められており、ブランドステートメントの『となりで、かなえていく。』が表すように、顧客の傍らで常に伴走しながら、共により良い未来を創出することを掲げて成長するコンサルティング企業である。
全社リモートワークが基本的な働き方として定着している職場にあって、「あえて出社することでオンとオフを切り替えています」と語る角谷幸子さんが今月の人事パーソンである。
「私のキャリアは人材業界から始まり、法人営業や数多くのビジネスパーソンのキャリア支援に携わってきました。その後、ソフトウェアの品質保証を専門とするIT企業へ転じ、人事として300?400名規模から900名規模へと急成長する組織の採用・育成・組織づくりを幅広く経験しました。このプロセスを通じて痛感したのは、事業成長と人材の獲得・育成・定着は、決して切り離せない両輪であるということでした。適切な人材が、適切な場所で活躍していなければ、真の事業成長はありません。2024年4月、当社に入社した際も、このような信念が私の根底にありました」
角谷さんがULSコンサルティングに入社した最大の理由は、自身の価値観と企業の価値観が一致していたところにある。
「顧客の組織課題や変革に対し、当事者としてその隣で伴走しながら、諸問題を解決していくという会社の姿勢に、人事パーソンとして、企業成長の本質的な課題に向き合ってきた、私自身のキャリアがリンクしたといっても過言ではありませんでした」
角谷さんにとっての"人事の仕事"を伺うと、「その側面は2つある」という。
「1つ目は、経営側の意向や方針を体現する側面と、2つ目は、社員の声を経営側に届ける橋渡しとしての側面です。会社は人によってつくられるものであるため、どちらの側面、視点が欠けてもならず、多様な立場の人々の想いを理解し、つなぎ役になることが人事の仕事の醍醐味であると思っています」
そんな角谷さんの座右の銘は、「意思のあるところに道は開ける」。その背景には、自身の成功体験だけでなく、思い返せば悔やまれる失敗体験もあった。
「常に会社や社員にとって一番いいことは何かと、考え抜く強い意志を持って試行錯誤してきたことが、私自身のキャリア形成や、現在の道につながっていると自負しているからです。もちろん、それは過去の成功体験だけではありません。前職で"あのとき手を打っておけばよかった"と、結果として人材流出を招いてしまった経験も、現在の組織運営における貴重な糧になっています」
▲「すべてのメンバーたちが、そして、人事部の仲間たちが、それぞれの立ち位置で、誇りを持って働ける環境を創ること。それが人事責任者である私の最大の使命であり、喜びです」と語る角谷さん
ULSコンサルティングは現在、単体で約730名。角谷さんが入社した2年前の約500名と比べると、その急速な拡大ぶりが顕著である。角谷さんが率いる人事部では、4つの専門グループ体制を整えて対応している。
「1つ目が、入口の部分で優れた人材を揃える『中途・新卒採用グループ』。2つ目が、採用したメンバーの育成、研修を行う『人材開発グループ』。3つ目が、社員の定着と活躍の最大化を推進する『エンプロイーサクセスグループ』。4つ目が、社員が長く安定的に活躍し続けるための制度設計を担当する『人事企画グループ』です。私が意識しているのは、再現性のある強い組織にするために、徹底した情報開示と、合意形成を重視することです」
自身の言葉に頷きながら、確信を持って語る角谷さんである。
「例えば、経営会議での内容も、言葉の粒度を意識して使いながらメンバー間で共有し、"自分事化"を促進しています。これは、自律的に、主体的に、ポジティブに参加できる組織文化をつくるための工夫です。人事部自体もこの2年で、10名から20名規模へと陣容が倍増しており、相互理解と交流を深めることが求められるようになりました。そこで始めたのが、『エンジョイ朝会』『マンスリーフェスティバル』『3つの横断タスクフォース』とそれぞれ命名した3つの取り組みです」
「エンジョイ朝会」は毎朝15分間の朝会を指し、「マンスリーフェスティバル」は月に1度の部会のことである。
「『エンジョイ朝会』は、曜日ごとにコンテンツを変えて実施しています。例えば、最近のベストプラクティスやエレベーターピッチを取り入れる日もあれば、金曜日だけは小グループに分かれ、1週間の楽しかったこと、反省したことを分かち合う時間にするといった具合です。ただの"朝会"では盛り上がりに欠けるので、最後は全員で『Let's Enjoy!』と声を合わせて締めくくっています。『マンスリーフェスティバル』は、堅苦しい会議ではなく、月に1度の"お祭り"です。普段はリモートワークのメンバーもこのときは出社し、対面でのコーヒーブレイクなどを通して、相互理解の気持ちを育んでもらっています。『3つの横断タスクフォース』では、業務の枠を超えて、組織文化醸成、専門性向上、業務効率化の3チームが活動しており、刺激し合う貴重な学びの場になっています」
どれだけ多忙であっても、自ら求めた人事の仕事の奥深さに、"はまっている"角谷さんである。
「私にとっての仕事とプライベートの切り替えは、"あえて出社する"という物理的な行動によってできています。リモートワークが認められている文化のなかでも、直接顔を見て対話することの価値を感じているからです。いずれにしても、人事は、時に経営と現場の板挟みになり、守りの姿勢に入りたくなることもあります。しかし、そんななかでも、自分たちはどうするかという主体性を持ち続けることが、仕事のやりがい、ひいては人生の充実感につながるものと私は信じています」
(取材/関本しげる)
『月刊人事マネジメント』2026年8月号より転載
※本記事は、2026/8/5時点で(株)ビジネスパブリッシングの外部メディアに公開された記事を、許可を得て転載しています。